その69 青葉山(信夫山の古名)と羽山の謎
信夫山は、西の烏ケ崎のある羽山と、中央の羽黒神社のある羽黒山と、東の熊野山と、三つの峰に分れていて「信夫三山」といわれています。
大昔は、山神であり水神・農耕神である奥山の「吾妻山」が信仰の本社で、信夫山はいわばその出店のような存在であった、と考えられています。他の地区でも吾妻山が見える里山の西端を、羽山(端山)と呼ぶことが多いのはこのためですね。
信夫山は、盆地の真ん中にある孤立丘ですから「大羽山」と呼ばれ、これが転じて「青葉山」(信夫山の古名)といわれるようになった、と考えてられています。
さて、そんな信仰の山でしたから、西端の峰は霊験あらたかな奥ノ院といわれ、特に烏ケ崎は眺望絶景で巨岩がるいるいと重なり、山伏たちの厳しい修験の場所となりました。後に西峰だけが「羽山」となりましたが、女人禁制の神聖な羽山には、戦前まで女性は近づけませんでした。
羽山には、月山神社と湯殿山神社が祀(まつ)られていますが、当時は岩倉(岩の寄り集まった所)そのものがご神体でしたから、神社そのものはごく質素になっています。
烏ケ崎の先端の護摩壇岩は、山伏が吾妻山遥拝を行った修験場で、吾妻小富士がちょうど目の高さに見えます
なにしろ羽山はすごい所なのですね。