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その23 信夫山の雪室(ゆきむろ)の話

今回は、信夫山の雪室で氷を作っていたというお話です。
雪室とは、大きな雪の貯蔵所のこと。福島藩主・板倉公の時代から明治にかけて、信夫山の護国神社の上の山の斜面にありました。
冬の大寒大雪の頃、人足が集められて、雪室に大量の雪をかき集めました。その上にわら屋根をかけて、夏までその雪を保管したのです。すると雪の重みと冷たさで、中が氷になったのでした。

板倉公は城内で7月に夏越しの祭りを行っていたそうですが、その時に城下の役人や、町年寄り、御用達の商人が招かれて、この雪氷をかけた素麺が振舞われるのが習わしでした。
板倉藩の始まりは元禄の終わりごろ(1702年)で、夏越しの祭りは安政(1855年)との記録があります。明治の始まりが1867年ですから最近の話ですね。
現在も護国神社の上の車道を登ったところに、巨大な四角いくぼみがあります。後ろは崖で、今はうっそうと草木が茂っていますが、何百㌧もの雪が貯(た)められそうな場所です。ここに確かに雪室が存在したのでしょう。
エコロジーが重視されている昨今、電気を使わない天然冷蔵庫としての雪室は現代でも見直され、利用されている地域もあるそうです。まさに、先人の知恵ですね。