その2 湖伝説と伏し拝みの謎
あなたは「昔々、福島盆地は大きな湖で、そこにぽっかりと信夫山が浮かんでいた」という話を聞いたことがあるでしょうか?
福島市の南に、旧4号国道から4号バイパスに繋(つな)がる、急坂(伏し拝み坂)があります。地名の由来は「その湖に浮かぶ信夫山を、はるかに伏し拝んだ」という説からきているのだそう。
その話の証拠に、伏し拝み神社には「舟繋ぎの石」があり、一方、信夫山墓地の中ほどにも、「舟繋ぎの松跡」があるのですよ。
さらに、土湯口の「舟引沢」や、佐原の土船にも「舟繋ぎ石」があり、梁川の舟生にもそれがあって、そして全てを結ぶ水平線に、ぽっかりと信夫山が浮かぶことになる、といった伝説もあります。おもしろいですね。
しかも、その湖には邪悪なオロチが住んでいて、周辺の人を苦しめていたというのです。そこで住民は、蝦夷征伐にきたヤマトタケルノミコトに頼み込んで、オロチを退治してもらいました。 オロチは、阿武隈急行線の兜岩駅の先にある「猿っ跳ね岩」を割って海に逃れたため、そこから湖の水がどっと海に流れ出し、豊かな信達平野ができあがったのだそうです。
来週は私「わらじい」についてお話ししていきたいと思います。